計測機器やセンサーなどのシリアル通信デバイスから出力されるシリアルデータをTulipに取り込むことができます。
本記事では、下記2通りの方法をご紹介します。
- シリアル通信デバイスをEdge IOに繋げて取り込む方法
- シリアル通信デバイスをTulip Playerを実行している端末に繋げて取り込む方法 ※Windows端末のみ対象
シリアルデータ取得の流れ
シリアル通信デバイスから出力されたシリアルデータは仮想COMポートと呼ばれる接続口に入ります。
データを取得する際は仮想COMポート番号を指定してボーレート等の詳細情報を基にポートに接続する必要があります。(部屋番号を指定してドアを開けるイメージ)
・仮想COMポート番号の確認方法
Tulip Playerを実行している端末に繋げる場合、事前に仮想COMポート番号を確認する必要があります。
デバイスを接続した状態で、Windowsのデバイスマネージャーを開き「ポート(COMとLPT)」をクリックし、該当するデバイスのCOMポート番号を確認します。
※端末にデバイスを接続する際、ドライバが必要な場合があります。詳しくは接続機器または変換ケーブルの取扱説明書にてご確認ください。
・仮想COMポートへアクセスする際に必要な情報一覧
- ボーレート
- データビット(データ長)
- ストップビット ※指定がない場合もある
- パリティ ※指定がない場合もある
- フローコントロール ※指定がない場合もある
- 区切り文字
- ターミネータ ※リクエストを送信する際のみ必要
※上記の値はデバイスによって異なります。デバイスの取扱説明書をご確認ください。
Edge IOに接続して取り込む方法
・機器の接続
RS232CもしくはUSBへの変換ケーブルを使い、Edge IOに機器を接続します。
・Edge IOのデバイスポータルでの設定
- Edge IOのデバイスポータルにログインする ※デバイスポータルへのアクセス方法はこちら
- Configure driversを開く
- GENERIC-SERIALを開く
- Path Matcherが「/dev/ttyS1」のBaudとDelimiterをデフォルト値から接続デバイスの値に変更する
・Baud:ボーレート
・Delimiter:区切り文字 - 画面を下にスクロールし、「Save」をクリックして設定を保存する
・トリガの設定
今回はトルクレンチの出力データを変数に保存し、一部の値を別の変数に保存するトリガを設定します。
- App Editorでシリアルデータを取得したいアプリのステップを開く
- ステップのトリガ「マシンとデバイス」に出力データを区切り文字で分割し、変数(リスト型)に保存するトリガを設定する
※デバイスは「汎用シリアルデバイス」を選択します。
※変数は任意の名前で作成してください。
※今回接続したトルクレンチの場合は出力データに複数の値が含まれるため、本記事では例として値ごとに分割して保存する方法をご紹介しています。
トルクレンチ出力データ:RE, 043, 007.9, 22/10/04, 13:38:14 - Tulip Playerを実行し、値が取り込めるか確認する
- 同じトリガに新規アクションを追加し、取り込んだ値の3番目の数値を取り出し変数に保存するトリガを設定する
※変数は任意の名前で作成してください。
※変数(リスト型)内の値には0から順にインデックスが採番されています。今回取り出す3番目の値のインデックスは「2」のため、「2」と指定しています。 - Tulip Playerを実行し、3番目の値が変数「インデックス2」に保存されるかを確認し、問題がなければ完了
Tulip Playerを実行している端末に繋げて取り込む方法
これまでは上記の方法でしか取り込みができませんでしたが、「シリアル(Player Only)」という機能が実装され、Tulip Playerに直接取り込めるようになりました。
・機器の接続
有線で接続する場合:Tulip Playerを実行する端末にケーブルで接続する
無線で接続する場合:Tulip Playerを実行する端末にBluetoothで接続する
・トリガの設定
今回はトルクレンチの出力データを変数(リスト型)に保存し、一部の値を別の変数に保存するトリガを設定します。
Tulip Player実行端末でシリアルデータを取り込む場合、仮想COMポートへアクセスするトリガと出力データを保存するトリガを分けて設定する必要があります。
- 仮想COMポートに接続するトリガ
今回はステップ開始時に仮想COMポートへ接続、ステップ終了時に切断するトリガを設定します。
- App Editorでシリアルデータを取り込みたいアプリのステップを開く
- ステップのトリガ「ステップ開始時」に仮想COMポートに接続するトリガを設定する
・識別名:接続するデバイス固有の名前
・パス:仮想COMポート番号
※接続するデバイスに対して固有の識別名をつける必要があります。Tulip Player上で2つ以上のデバイスを接続している場合、切断する際にどのデバイスを切るか分かるようにしておくためです。
※識別名・パス・ボーレート・データビット・区切り文字は指定する必要がありますが、それ以外で指定のないものについては「none」とします。 - ステップのトリガ「ステップ終了時」に仮想COMポートの接続を切断するトリガを設定する
※仮想COMポートは同時に同じポートへの接続ができないため、使用後は切断する必要があります。
- デバイスの出力データを保存するトリガ
出力値の取り込みはステップのマシンとデバイストリガにて設定します。
- App Editorでシリアルデータを取り込みたいアプリのステップを開く
- ステップのトリガ「マシンとデバイス」に出力データを区切り文字で分割し、変数(リスト型)に保存するトリガを設定する
※デバイスは「シリアル(Player Only)」を選択します。
※変数は任意の名前で作成してください。
※今回接続したトルクレンチの場合は出力値に複数のデータが含まれるため、本記事では例としてデータごとに分割して保存する方法をご紹介しています。
トルクレンチ出力値:RE, 043, 007.9, 22/10/04, 13:38:14 - Tulip Playerを実行し、値が取り込めるかを確認する
※Tulip Player上で仮想COMポートに接続するため、テストモードでは取り込みができません。 - 同じトリガに新規アクションを追加し、取り込んだ値の3番目の数値を取り出し変数に存するトリガを設定する
※変数は任意の名前で作成してください。
※変数(リスト)内の値には0から順にインデックスが採番されています。今回取り出す3番目の値のインデックスは「2」のため、「2」と指定しています。 - Tulip Playerを実行し、3番目の値が変数「インデックス2」に保存されるかを確認し、問題がなければ完了
※Bluetoothは、Bluetooth SIG, Inc.の商標または登録商標です。
※Windowsは、米国Microsoft Corporationの商標または登録商標です。